トレチノイン・ハイドロキノン(シミの外用治療)
TRETINOIN・HYDROQUINONE
トレチノインの特徴
・トレチノイン(オールトランスレチノイン酸)とはビタミンA(レチノール)の誘導体で、生理活性はビタミンAの約50-100倍であり、体内での効果は ビタミンAの約50~100倍と言われています。元々血液中に微量に含まれる物質ですので、アレルギー反応を起こすことはほとんどないと考えられています。
・アメリカではしわ・小じわ・にきびの治療医薬品として、日本の厚生労働省にあたる政府機関である FDA(米国食品医薬品)に認可されています。
・効き目がマイルドなレチノールは一般の化粧品への配合が認められていますが、トレチノインは医師の診察が必要です。
トレチノインの作用
・皮膚の角質を強力な作用で剥がします。
・皮膚のターンオーバー(古い皮膚が新しい皮膚に入れ替わる期間)が短縮され、皮膚の再生を促進します。
・2~4週間でメラニン色素を古い角質とともに体外に押し出します。
・皮脂の分泌を抑制します。
・ヒアルロン酸やコラーゲンの分泌を増やし、皮膚のハリを高めます。
ハイドロキノンの特徴と作用
・ハイドロキノンはチロジナーゼの活性を抑制することで、皮膚の中にあるメラノサイトによるメラニン色素産生を抑制します。シミの原因を作らせなくすることでシミを漂白する作用があります。
・ハイドロキノンはイチゴ類やコーヒーなど自然に存在する物質です。
・濃度が低いハイドロキノンは一般の化粧品にも配合されていますが、高濃度のハイドロキノンの処方には医師の診察が必要です。
・ハイドロキノンは稀にアレルギー反応を起こす方がいます。
・ハイドロキノンを塗った部位に日光があたると色素沈着を起こすことがあるので、外出の際は必ず日焼け止めを塗ってください。
トレチノイン&ハイドロキノンのリスク・注意点
トレチノイン&ハイドロキノン外用治療におけるリスクと注意点は以下のことが挙げられます。
・治療を始めておよそ3日~1週間程度で赤み、ピリピリした刺激感、垢のようなポロポロした皮むけが生じます。通常1~2週間で落ち着いてきます。
・上記の反応はトレチノイン治療には必ず伴う症状です。治療を中止すれば徐々に回復します。
・外用部分の強い痛み、出血、浸出液が生じた方は使用をやめ受診するようにしてください。
・妊娠中の方、授乳中の方はトレチノインを使用することはできません。
・トレチノイン治療中は避妊を行ってください。
・日中外出する際は必ず日焼け止めを塗るようにしてください。
トレチノイン&ハイドロキノンの使い方
石鹸で洗顔します。良く泡立ててごしごしこすらないようにしましょう。すすぎはぬるま湯で泡が顔に残らないよう丁寧に洗い流しましょう。
柔らかいタオルで押さえるようにして、しっかりと水分を拭き取ります。
低刺激の化粧水を使用します。
お薬が髪や服につかないようピンなどでまとめます。
トレチノインゲル(黄色いゲル)を、シミの部分からはみ出さないようにベビー綿棒で薄く丁寧に塗り、乾かします(1~2分)。
・はじめは1日2回(朝、晩)ご使用ください。(担当医の指示に従ってください)
・赤みが強くなってきたら夜のみ1回お使いください。
・境界がはっきりしているときは、なるべくシミのふちから出ないようにしてください。
・反応、刺激が強すぎる時はトレチノインのみをお休みして、受診してください。
ハイドロキノン軟膏・ジェルを塗ります。
指で、シミからはみ出すように広めに塗ってください。
ハイドロキノンは必ず朝、夜2回使いましょう。
朝は、日焼け止めクリームもしくはUVカット入りの化粧下地クリームを塗ります。強くこすらずに、上に重ねて置く感じで塗ってください。余分なクリームはティッシュペーパーなどで優しくふき取りましょう。
お化粧をする場合は、クリームやパウダー(UVカット入り)のファンデーションを使います。コンシーラーやパーフェクトカバーなどのカバー用ファンデーションを使うこともできます。夜に塗る際は、オイルでカバーすると皮膚のツッパリ感や乾燥を防ぐことができます。
料金
初・再診料 |
1100円 |
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薬剤料 |
ハイドロキノン5% 2900円(8g)
トレチノイン0.05% 3500円(5g)
トレチノイン0.1% 4500円(5g)
トレチノイン0.2% 4900円(5g) |
Q&A
Q. どんなシミに効果がありますか?
A. 丸くて平らなシミ(老人性色素斑)、ケガやヤケドの後の炎症後色素沈着に有効です。両頬のべたっとしたシミ(肝斑)、ソバカス(雀卵斑)、生まれた時からある平らなシミ(扁平母斑)にも有効ですが、効果が出るまでに時間がかかります。裏技的なものとして、乳首・乳輪の黒ずみを薄くすることが出来ます。また、ニキビに対して使用しても効果的です。
手のシミにも治療は可能ですが、手は顔よりも皮膚が厚く、表皮の再生速度も遅いため効果は劣ります。盛り上がったシミ(脂漏性角化症)、青っぽいシミ(アザ)にはあまり効果がありません。
Q. 治療期間を教えてください。
A. 通常2~3か月です。取れにくいシミの場合、2か月程度の間隔をあけて2回目の治療を行います。
Q. 治療経過を教えてください。
A. 治療は、前半のシミを漂白していく治療期間(2~8週間)と後半の炎症を冷ましていく期間(2~8週間)に分かれます。トレチノインを塗り始めてから3日~1週間程度で治療部位の皮膚が赤くなり、垢のように皮膚がぽろぽろむけてきます。これはトレチノインによる通常の反応ですので、ご安心ください。無理に皮をむかず、自然にはがれるのを待ってください。その後、徐々に赤みが増してきますが、シミは薄くなってきます。始めの1~2週間は一番つらい時期ですが、その後お肌が薬に慣れてきて赤みやしみる感じもなくなっていきます。治療中は、必ず最低2週間に1度は診察を受けてください。シミの治療期間の目安は2~3か月です。シミが満足できるところまで薄くなった時点でトレチノインゲルを中止し、ハイドロキノンの外用を続けていただきます。トレチノインゲル外用中および外用中止後2~4週ほどの間は赤みが続きます。
Q. 必ず効果が出ますか?
A. 効きやすいシミに対してきちんと外用していただければ効果が期待できます。数回(数クール)の治療が必要となる場合やしみが完全になくならない場合もあります。過度の期待は禁物です。年齢やシミの種類などにも左右され、効果には個人差がありますので、「必ずあとかたもなくきれいになる」という保証は致しかねます。