イソトレチノインによるニキビ治療
重症・難治性のニキビに対する効果的な内服治療法です。皮脂分泌を抑制し、毛穴の詰まりを解消することで、ニキビの根本的な原因にアプローチします。
イソトレチノインの作用メカニズム
皮脂腺の縮小
皮脂腺のサイズを小さくし、過剰な皮脂分泌を強力に抑制します。ニキビの主な原因である過剰な油分を根本から減らします。
角化異常の正常化
毛穴の詰まりを引き起こす角化異常を改善し、アクネ菌の増殖環境を取り除きます。毛穴がスムーズに機能するようになります。
抗炎症作用
ニキビによる赤みや腫れといった炎症症状を効果的に抑制します。これにより見た目の改善も早く実感できます。
どんな効果があるのか
高い治療効果
重症・難治性のニキビに対して高い効果を発揮します。他の治療法で改善が見られなかった方でも、多くの場合に明らかな効果が現れます。
早期の改善
治療開始から1〜2か月で多くの患者さんに改善が見られます。完全な改善には継続的な治療が必要ですが、早い段階から効果を実感できることが特徴です。
長期間の寛解
正しく治療を完了することで、治療終了後も長期間にわたってニキビが再発しない状態(寛解)を維持できる可能性が高いです。
適切な治療完了後、約70%の方が長期的な効果を維持します。
改善率
重症ニキビ患者さんの約80%で顕著な改善が見られます。
どんな症状にオススメ?
大型でしこりのあるニキビ(嚢胞性ざ瘡)が多い方 |
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保険診療などほかの治療で2か月程度治療しても改善が見られない方 |
繰り返しニキビができる、ニキビ跡ができやすい方 |
ニキビ以外への効果
酒さの赤い丘疹 |
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毛穴の黒ずみ |
過剰な皮脂 |
多発する脂腺増殖症 |
治療の流れと期間
初診・検査
治療開始前に診察と血液検査を行い、お体の状態を確認します。治療計画についても詳しく説明します。
服用開始
通常1日1回、食後に服用します。初期は1日20mgあるいは10mgから開始し、症状や副作用の状態に応じて調整していきます。
経過観察
月1回程度の診察と開始1か月後、以後は3か月ごとに定期的な血液検査を行い、効果と副作用をモニタリングします。
治療完了
16〜24週間(約4〜6か月)の服用で治療完了となることが多いです。症状が持続する場合は12か月継続します。累積用量に基づいて終了時期を決定します。
治療期間は個人差があり、症状の重さや体重、薬への反応によって調整されます。医師の指示に従って、指定された期間をしっかり完了することが大切です。
イソトレチノインの服用方法
正しい服用タイミング
脂肪分を含む食事と一緒に服用すると吸収率が高まります。空腹時よりも食後の服用が推奨されます。
規則正しい服用
毎日同じ時間帯に服用することで、体内の薬物濃度を一定に保ち、効果を最大化できます。
自己判断での中断は避ける
症状が改善してきても、医師の指示なく自己判断で中断・減量しないでください。治療効果が十分に得られなくなる可能性があります。
医師から処方された用量と服用期間を守ることが、治療成功の鍵です。不安や疑問がある場合は、必ず医師に相談してください。
想定される副作用
一般的な副作用
- 皮膚・唇の乾燥 ほぼ全員に発生
- 唇のひび割れ 多くの方に発生
- 鼻粘膜の乾燥・鼻血 よく見られる
- 軽度の頭痛 時々発生
- 目の乾燥 時々発生
注意が必要な副作用
- 肝機能の一時的な変動
- 血中脂質値の上昇
- 筋肉痛・関節痛
- うつ症状(まれ)
最も重要な注意点
催奇形性:妊娠中の服用は胎児に重大な影響を与えるため、女性は治療中および治療後一定期間の避妊が必須です。
副作用の多くは乾燥に関連するもので、保湿剤の使用などで対処可能です。定期的な血液検査で早期に異常を発見し、適切に対応します。
治療中の注意点・禁忌
妊娠・授乳に関する絶対禁忌
妊娠中・授乳中は絶対に服用できません。服用中および服用終了後1ヶ月間は確実な避妊が必要です。妊娠を希望する場合は、治療終了後の計画をあらかじめ医師と相談してください。
日焼け対策の徹底
イソトレチノイン服用中は紫外線感受性が高まります。日焼け止め(SPF50+)の使用、帽子の着用など、徹底した紫外線対策が必要です。日焼けをすると色素沈着が起こりやすくなります。
併用禁忌薬・注意事項
テトラサイクリン系抗生物質との併用は避けてください。ビタミンA含有サプリメントの併用も禁止です。アルコールは肝臓への負担を増やすため、摂取量を減らすことをお勧めします。
Q&A
Q. 効果はいつ現れますか?
A. 多くの患者さんは1〜2か月目から改善を実感し始めます。治療開始直後は一時的に症状が悪化することもありますが、これは治療効果の現れで、その後改善していきます。
Q. 再発する可能性はありますか?
A. 正しく治療を完了した方の約70%は長期寛解が得られます。生活習慣や体質によっては再発する場合もありますが、初回よりも軽症であることが多いです。
Q. 他の治療法との違いは?
A. 外用薬や抗生物質が症状を抑える対症療法であるのに対し、イソトレチノインは皮脂腺に直接作用する根本治療です。難治性・重症ニキビに特に効果的です。
イソトレチノイン治療に関するご質問やご不安は、遠慮なく担当医師にご相談ください。あなたの状態に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
料金
初・再診料 1,100円 |
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血液検査料 2,200円 |
薬剤料 |
イソトレチノイン 10mg(30日分) 15,400円 |
イソトレチノイン 20mg(30日分) 16,500円 |