円形脱毛症

 
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円形脱毛症とは

円形脱毛症は、円形や楕円形の脱毛 (脱毛斑と呼ばれます )が突然生じる疾患です。その脱毛の範囲は 10円玉くらいの大きさから、頭部全体、あるいは眉毛や体毛にまで及ぶ重度のものまで様々です。
 

円形脱毛症の原因

普段、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るためにある「免疫」のシステムが、何らかのきっかけで自分の組織を攻撃するようになってしまうこと (「自己免疫疾患」と呼ばれます )が、円形脱毛症の原因と考えられています。
自分の免疫システムが、髪の根元である毛根や毛包を攻撃することで、髪の毛が抜けてしまいます。
また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持っている人は円形脱毛症の発症割合が多くなると言われています。円形脱毛症患者の 40%以上の方が、アトピー性疾患 (アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎のいずれか )をお持ちだったという報告もあります。
 

円形脱毛症の症状

・何の兆候もなく突然髪の毛が抜け始めた
・脱毛のある部分が円形または楕円形で、境界がはっきりしている (脱毛斑 )
・脱毛斑の周囲の毛も引っ張ると簡単に抜けてしまい、痛みもほとんどない
・抜けた毛の毛根部分が、細くとがっている
円形脱毛症の初期段階では、上記のような症状が見られます。
 
また、円形脱毛症はいくつかの種類に分けられます。
・単発型
老若男女を問わず幅広く発症しうる、最も多く見られるタイプの円形脱毛症です。
突然、頭部に脱毛斑が 1つ発生するという症状です。
単発型の方は約 80%1年以内に治癒すると言われています。
 
・多発型
単発型から移行し、脱毛斑が 2つ以上発生したタイプの円形脱毛症です。
適切な治療を行っても、完治まで半年~ 2年ほどかかると言われています。
 
・蛇行型
髪の生え際に沿って脱毛斑がつながり、蛇のように脱毛が広がるタイプの円形脱毛症です。見た目への影響はマイルドですが、治療期間が長期に渡ることが多いです。
 
・びまん型
はっきりした円形の脱毛斑が現れず、急速に頭髪全体が抜け始めるタイプの円形脱毛症です。できるだけ早期に適切な処置を開始する必要があります。
 
・全頭型
脱毛斑が頭部全体に広がり、最終的に頭髪が完全に抜け落ちてしまうタイプの円形脱毛症です。非常に治りにくいことが多く、治療も長期に渡ることが多いです。
 
・汎発型 (ばんぱつがた )
全頭型よりさらに症状が進行し、眉毛やまつげ、体毛まで抜け落ちてしまうタイプです。全頭型同様、非常に治りにくいことが多く、治療も長期に渡ることが多いです。

 

円形脱毛症の診断

基本的には視診や触診によって診断します。また、効果的な治療につなげるために「いつどのように始まったか」「抜け毛の兆候はそれまでにもあったか」「ここ数か月、精神的ショックやストレス、生活環境の変化などはなかったか」などといった質問をする場合があります。
甲状腺機能の異常による脱毛がないか確認するため、血液検査を行います。
 

円形脱毛症の治療

円形脱毛症は免疫のシステムが大きく関わる疾患ですので、以下に示すような治療で改善を試みます。お気軽にご相談ください。
・ステロイド
炎症や免疫機能を抑えるステロイドを塗ったり、局所注射(当院では行っておりません)したり、場合によっては内服することで脱毛を抑えます。初期の円形脱毛症に有効だとされています。
・局所免疫療法(当院では行っておりません)
皮膚のかぶれを起こす特殊な薬品 (SADBEなど )をあえて脱毛部に塗り、弱い皮膚炎を起こすことで発毛を促す治療法です。有効率は 70%以上と言われています。
・ステロイドパルス療法
点滴により、短期間で集中的にステロイドを投与する治療法です。入院が必要となるため当院では行っておりませんが、急速に進行する重度の円形脱毛症 (発症後早期段階の患者さん )には有効に働くとされています。
・その他外用薬 (湿布や軟膏など )…ミノキシジル外用薬、塩化カルプロニウム外用薬など
・その他内服薬 (飲み薬 )…セファランチン、抗アレルギー薬など
 
それ以外に、光線療法 (紫外線療法 )なども、過剰に働いている免疫システムを抑えるのに有効に働きます。
 

円形脱毛症の日常生活での注意

頭髪は 22時から深夜 2時の間に成長すると言われています。できるだけこの時間には就寝するよう心がけましょう。
また、発毛に必要な栄養分や水分を届ける血流の促進のため、適度な運動や入浴をする、バランスの取れた食事をするなど、生活習慣を改善することはもちろん重要となります。
 
また円形脱毛症は、重度の治療となると長期化することが多いです。したがって、できる限り普段と同じ生活を続け、自分らしく過ごしながらムリなく治療を続けることが大切です。
そのためには個々人の症状に合わせ、ウィッグ (かつら )や帽子をかぶることで人の眼を気にせずに生活できるよう工夫することも一つの手段です。ウィッグは取り扱いのある美容院をご案内できますので、お気軽にご相談ください。
ライフスタイルに合わせて、できる限り QOL(生活の質 )を下げない手段を探しましょう。お悩みの際は、お気軽に当院へご相談ください。