乾皮症(皮脂欠乏症)とは
皮膚に蓋をする働きのある脂分が減少してしまうため、皮膚中の水分が蒸発して失われ、乾燥した状態です。空気中の湿度が影響しますので、季節に応じて症状がよくなったり悪化したりします。一般的には秋口や冬にかけては悪化し、汗をかく夏場は症状が落ち着きます。
皮膚の保湿に必要な成分
皮脂の潤いは「皮脂」「天然保湿因子」「角層細胞間脂質」の
3つで構成されています。
<皮脂
>
皮膚の表面に膜を張ることで皮膚中の水分が蒸発することを防ぎます。
<天然保湿因子
>
角層、角層細胞の中にあり、水分を吸収し、保つ働きがあります。
<角層細胞間脂質
>
個々の角層細胞を覆う脂質の一種であり、角質同士の隙間を埋めるように存在します。これにより水分を通しにくくなり、体内の水分蒸発を防ぐ役割があります。
乾皮症(皮脂欠乏症)の一般的な症状
皮膚が白く粉を吹いたり、細かく皮がむけてかさかさした状態になります。部位としては腕や脚の外側、すね、背中やわき腹が乾燥しやすいようです。
<具体的な症状
>
「見た目がカサカサ」「かゆみを伴う」「白く粉を吹く」
「灰色やくすんだ赤い皮膚症状などの色調変化を伴う」
「進行すると皮膚炎となり、浸出液やかさぶた、出血を伴う」
乾皮症(皮脂欠乏症)の治療方法
<皮膚を乾燥させる要因を遠ざける
>
・エアコンによる湿度の低下
・長時間のシャワーや熱いお湯のお風呂
・垢すり、ナイロンタオル、スポンジなど硬いタオルで肌をこする
<保湿剤の使用
>
・当院から処方する保湿剤の使用
・肌に比較的負担が少ない市販の化粧水や乳液、保湿クリームの使用(当院でご紹介します)
<炎症が悪化し、皮膚炎になっている場合
>
皮膚に炎症が起こり、赤み、かゆみが強い場合は、乾燥肌が悪化して皮脂欠乏性湿疹になっています。このような状態になると保湿をしているだけではよくなりません。ステロイド外用薬を用いて治療を行います。抗ヒスタミン薬などの内服薬でかゆみを抑えるのも有効です。