乾癬とは
白くかさかさした皮むけが付着した赤みのある皮疹が全身のあらゆる部位に繰り返し出現します。皮疹の境界ははっきりしていて、周辺から少し盛り上がっています。小型のものから大きなものまで、形や数も様々です。できやすい部位は肘や膝、お尻、すねなどの擦れやすいところです。頭や顔だけにできるタイプは脂漏性皮膚炎と紛らわしいことがあります。爪が変形することもあります。若い時期に発症し、半数の患者さんにかゆみを伴います。
乾癬の症状
・少し盛り上がりのある赤茶色の発疹ができ、表面に白い皮むけが付着します。これを無理にはがすと点々とした出血がみられることがあります。
・擦過傷のあとに乾癬の皮疹ができることがあります。
・手足の爪が変形したり関節が痛くなったりします。
乾癬の原因
乾癬の原因は詳しく分かっていませんが、何らかの免疫の異常が関係していると考えられています。
乾癬になりやすい遺伝的な要因(家族内に発症している人がいる)があり、それにストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤などの環境的な要因が加わることで発症するといわれています。
ただし、日本では欧米に比べて家族内で複数の患者さんがおられる頻度が少ないようです。
乾癬の種類
・尋常性乾癬・・・ほとんど(全体の
90%)の患者さんがこのタイプです。上記の症状が良くなったり悪くなったりを繰り返します。
・滴状乾癬・・・喉が痛くなった(扁桃炎)後に水滴くらいの小型の皮疹が急に全身に発症します。
・膿疱性乾癬・・・発熱、倦怠感とともに全身が赤くなり、白く小さい膿疱が多数現れます。
・乾癬性関節炎・・・関節の腫れ、痛みが出現します。皮膚の症状は軽症のこともあり、関節炎と皮疹の程度は必ずしも相関しません。
・乾癬性紅皮症・・・尋常性乾癬の皮疹が全身に拡大し、体中が真っ赤になった状態です。
乾癬の検査と診断
・典型的な症状の場合は見た目で診断がつきます。
・ダーモスコピー(患部を拡大できる虫眼鏡のようなもの)を用いて患部を視診します。
・他の湿疹などと紛らわしい場合は組織を採取して顕微鏡で検査することもあります。
・血液検査で糖尿病や肝臓の病気を併発していないかを調べます。
乾癬の治療
・特に初期治療や症状が悪化した多くの場合、ステロイド外用薬を塗ることによって患部の炎症を抑える治療を行います。
乾癬の皮膚では皮膚の過剰な増殖が起こっており、「活性型ビタミン
D3外用薬」の働きによってその症状を抑制します。現在ではステロイド外用薬と活性型ビタミン
D3外用薬が配合された塗り薬もあり、単独の外用薬よりも高い効果を発揮します。
・乾癬の患部が広い場合は内服薬を処方します。特にかゆみの強い場合、爪に症状がある場合などは、オテズラ(
PDE4阻害薬)が有効です。
・皮膚に有害な波長をカットした紫外線を患部に照射する光線療法を実施することもあります。当院では全身にはナローバンド
UVBを、狭い範囲の皮疹にはエキシマライトで治療を行います。
・上記の治療によっても改善しない広範囲の皮疹がある方、関節の痛みを伴う方には、生物学的製剤の使用を検討します。クリニックでは処方できないため、病院へご紹介いたします。
乾癬の日常生活上の注意
・乾癬はうつる?・・・うつりません。読み方が感染(かんせん)と同じために勘違いされやすいと思われます。患者さんは周囲の視線が気になり、精神的なストレスで
QOLが低下しています。乾癬がうつらない病気であるとお伝えすることは重要なことと考えています。
・タバコやお酒を控える・・・喫煙は悪化要因と考えられています。飲酒によりかゆみが増すと考えられているので、控えていただくことが望ましいです。
・適度な運動・・・乾癬はメタボリックシンドロームとの関連があると言われています。適度な運動による体調管理が大切です。
・服装に気を付ける・・・皮膚が衣類とこすれる刺激で皮疹が悪化しますので、体への締め付けが少ない服を着用するようにしてください。
・ぬるま湯で優しく洗う・・・入浴は
40℃程度のぬるま湯で、刺激を避けるため、体を洗う際は手で優しくなでるように洗ってください。
・ストレスを避ける・・・ストレスは、乾癬の悪化させる一因です。できる限りストレスをため込まないようにし発散するようにしてください。
・乾燥を避ける・・・皮膚は乾燥により外部からの刺激に敏感になり、かゆみが増します。かゆみにまかせて掻き壊すことで症状が悪化しますので、保湿を心がけるようにしてください。